前回までのおはなし
キャンプといったら何と言っても外せないのがキャンプ飯。
アヒージョとお好み焼き、鶏肉の炭火焼き、焼き肉、焼きそばと盛りだくさん。
うちの母は下町生まれなこともあってか、もんじゃやお好み焼きなど、鉄板焼き(?)には定評があるのですが
炭火で焼くお好み焼き難しすぎない?
味はもちろん美味しいんですけどね。
そんなこんなで色々とキャンプ飯の研究に精を出していたのですが、突然後ろから
「うわぁ!最悪!」
と声が聞こえてきました。
何事かと思い振り向くと、ひよこ豆の缶詰を片手にした母が、反対の手に銀色のコインのようなものを持ってこちらに見せています。
よく見るとコインのようなものは、プルタブ。いや、もうその役目を果たせないそいつはただの加工されたアルミ・・・でした。
そう、プルタブがポッキリ折れてしまって、開かずのひよこ豆になってしまったのです。
しかし、プルタブとは違って折れない母の心。
「ちょっとナイフ貸して」
と、テーブルに置いていたナイフを手に取りおもむろに缶のふたのフチをなぞり始めます。
何が始まるのかと思いました。やけになって人のナイフを缶に突き刺そうとしてんじゃないだろうな・・・
そう思い、僕も固唾を飲んで見守ります。
そのままナイフの先端で缶のふたのフチをくるくるくるくる周回させると、突然刃が上を向くように持ち替え
ナイフの持ち手のお尻の部分を、缶詰に叩きつけました。
かぽんっ
という音とともに顔を覗かせるひよこ豆たち。
おお・・・これぞまさしく先人の知恵。一朝一夕の手捌きじゃないな、と感動。
この工夫は見習わなくちゃなあ!と思い、持っていた缶切りをそっと後ろ手に隠しました。
しかしその一連の騒動の間、僕以外にも母の一挙手一投足を見守るものがいました。
そう、愛犬です。でもこの子は心配と不安で観察していたわけではありません。
では何を観察していたのか。答えはいたってシンプル。
食べ物落ちてきそう
です。
食べることに関しては特にがめつい我が家の愛犬。
誰かの足元にいたら食べ物が落ちてくることを知っているのです。
しかし、何も落ちてこない。
そりゃあそうですよ、ただの缶詰ですから。
そうして、収穫が0になったことがわかるとふて寝をかますかわいいやつなのです。
ひとたび料理が始まるとまたむくりと起き出して、私のは?どこ?と辺りをうろちょろ。
見かねた母にブロッコリーをもらって、むしゃむしゃ食べてご満悦でした。
味を占めて、またうろちょろ。
「もうないよ」
と言われると再びシュン・・・。
かわいい。可愛すぎる。
さすがにはしゃぎすぎたのか、夜は早めに眠そうにしていました。
早々に寝た愛犬なのですが、夜はあのタープポールをも破壊した大雨強風。
テントに吹き付ける風が怖かったみたいで、ずっと外に向かって
ウウウウウウ!!と言いながら風と戦ってたらしいです。
なんでそんなにかわいい生き物なんだ。。。
そして、飛ばされたタープの回収にも一役かってくれたみたいで、帰りはしっかり濡れていました。
そんなこんなで十数年ぶりの家族でいくキャンプを終え、帰路に着く僕。
一度は蓋をした思いが頭を駆け巡ります。
そろそろクーラーボックスなしキャンプ・・・行けんじゃね!?!?!?
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